海中では。

中村征夫 写真展「永遠の海」松屋銀座 / ¥800

 

今年の8月は、いつもより涼しい。

 

空も好きだけれど、それ以上に海の中も好きです。

海の中にいる生物は、海の中だけが彼らの世界で。

地上には、こんな世界が広がっているなんて気にしたことないんだろうなあ、って思った。

 

沖縄の写真がとてもきれいでした。特にサンゴ礁

海の中も、空と同じで場所によって色が違っていて面白かったです。

 

 

パンダと、

■ ボストン美術館の至宝展-東西の名品、珠玉のコレクション 東京都美術館 / ¥1,600

 

少し時間があったので、ふらっと東京都美術館へ行ってきました。

上野動物園でパンダが生まれたので

最近、上野中がパンダで盛り上がっていて楽しい。

 

今回の目玉作品である英一蝶の巨大涅槃図。目玉だと知らずに観たのですが、見入ってしまいました。奇妙な動物が豪快に描かれていてとても見応えがありました。

今回の里帰りに合わせて、修復作業をしたらしいのですが、その映像も観ることができました。

 

一番好きだった絵は、モネの、くぼ地のヒナゲシ畑、シヴェルニー近郊 (Poppy Field in a Hollow near Givern)。赤い色と構図が好きです。

 

土曜日の夕方に行ったのですが、ここ最近の企画展に比べたら空いていた方で、久々にゆっくり観ることができました。

 

 

日本の美術 no.260 英一蝶

日本の美術 no.260 英一蝶

 

 

梅雨が明けた頃に。

■ 水声 / 川上弘美

 

戦争のこと、サリンのこと、震災のこと。一本太い現実と。

愛と死と、そういう個人的なことと、

良い塩梅で絡めて、マクロ過ぎず、ミクロ過ぎず、すっと違和感なく、入ってくる。

 

好きってなんだろうって。生きるってなんだろうって。

社会で起きること。社会で生きること。

 

水声 (文春文庫)

水声 (文春文庫)

 

 

ナビ派。

■ オルセーのナビ派展 三菱一号館美術館 / ¥1,700

 

ナビ派って知らなかったのですけれど、とても面白かった。

比較的お金に余裕のある若者たちが、学生時代に仲良しグループでいろいろなことを実験して、なんかグループにして名前つけたいね…そうだナビってよぼうぜ!って青春を謳歌し。

その後、大人になり、それぞれ自分のスタイルを確立していくのだけれど、

あいつ今こういう感じで頑張ってるのかあ~みたいな感じで

それぞれ尊敬し合いながら、時々会えば昔に戻って思い出話に話を咲かせる。

みたいな関係性。とてもうらやましい。楽しそうだなあ。

思想や芸術方法に共感して結びついた実験団体ではないので、時を経て自分の表現したいことが変わっても、特に仲たがいすることもない。いいなあ、楽しそうだなあ。

 

作品自体もとても好みでした。印象派よりも色使いが濃くて、イラストのようだった。

日本の浮世絵に影響されたと思われるキャンバスの大きさや、美人画のような女性の絵。

 

 

かぼちゃ

草間彌生展 国立新美術館 / ¥1,600

 

ロンドンのテートモダンで観た映像作品がもう一度見たくて、でも日本ではなかなかそういう機会がなくて。

だから、今回この展覧会で観ることができてよかった。

 

 

無限の網―草間彌生自伝 (新潮文庫)

無限の網―草間彌生自伝 (新潮文庫)

 

 

春。

アルチンボルド展 / 国立西洋美術館 ¥1,600

 

16世紀ハプスブルク家お抱えのアートディレクターさん。

 

だまし絵~みたいな特集でよく観る絵だったので知っていたけれど、

こんなに古い絵だとは知らなかった。

 

動物、植物や魚介類などの描写も細かく、だからある程度現代の人が描いた絵だと思っていたのだけれど。ライオンや象など、当時のヨーロッパにいたのかな。

 

もしかしたら、こういう動物などの知識を知っている、というのが貴族たちの一種のステータスだったのかもしれないなあ、と思ったり。

 

当時、博物館のような美術館のようなそういう知識を詰め合わせた場所があったって書いてあったのだけれど、名前を失念してしまった。なんだったっけ。

 

奇想の宮廷画家 アルチンボルドの世界 (TJMOOK)

奇想の宮廷画家 アルチンボルドの世界 (TJMOOK)

 

じっぐらとう。

■ ブリューゲル バベル塔展  / 東京都美術館  ¥1,600

 

ブリューゲル バベルの塔展へ行きました。最終日に駆け込み。

 

ブリューゲルももちろんですが、同時に何枚か展示されていたヒエロニムスボスの絵が大好きなのです。今回はこれがお目当て。

 

どれくらい大好きかというと、ボスの出身地デンボスにあるヒエロニムスボスアートセンターに行くために、わざわざオランダに行ってしまったくらい好きです。

アートセンターといっても、教会で、そこにボスの全作品(すべて贋作)があり、ボスが描いたおもしろい生き物のオブジェが天井から吊るされていたりと、ゆるい感じなのですが。

 

そんな雰囲気の場所だったからか、デンボスで一番印象に残ったことは、そのアートセンターではなく、電車の駅から降りてセンターまで歩いて向かう際、突然どしゃぶりになってしまったので、傘を買うために地元のスーパーにかけこんだことで。すぐ使いたかったのでタグを取ってほしかったのですが、レジにはさみがないということで、ハサミを求めてスーパーの中をうろうろしたのが良い思い出です。精肉エリアで無事発見し、白衣を着てマスクをしたおじさまがちょきんと切ってくれたのでした。

雨でびしょびしょに濡れながらハサミを求めて徘徊している日本人を哀れに思ったに違いない…。親切にしてくれる、デンボスの人、やさしい。

 

話がそれた。

 

ボスの絵は、不気味だけれど魅力的な生物がリアリズムの中にすとんと書かれているところが、好きな理由です。今風に言うと、きもかわいいキャラクターっていうところでしょうか。

絵がとてつもなく上手な人が、わざとわけわかんないもの描くの、いいよね。マグリットとか。

 

もちろん展覧会の目玉作品、ブリューゲルバベルの塔は傑作でした。あんなに細かく描いているなんて、ルーペでじっくり見たかった。実際は、誘導されながら流れるように観終わったので、もう回転すしの寿司になった気分で、観ました。バベルの塔

 

聖書の物語を直接的に描く作品って、啓蒙的意味合いが強いと思っていたのだけれど、ブリューゲルバベルの塔はそうではなく、ブリューゲルお得意の庶民の暮らしがそこにはあって。人間たちが、目の前にあることを真面目に着々とこなし、そこには人の生活がある。そこが描かれいて面白かった。

旧約聖書を読んだ際は、欲深い人間たちがそれが神の逆鱗に触れた。みたいな二元的お話な印象だったのですが。

なんで、神様の怒りに触れ、言葉をバラバラにされなくてはならなかったんだろう、ただこの人たちは、別に神様に背こうと生きていたわけでなく、ただ必死に毎日を生活していただけだったのに、って自分の中で聖書を再発見することができました。