アジェのインスピレーション ひきつがれる精神
■ アジェのインスピレーション ひきつがれる精神 / 東京都写真美術館 ¥600
マン・レイときけば、どこにだって行きます。
2018年の美術館初めは、東京都写真美術館。ウジェーヌ・アジェという写真家は知らなかったのですが、マン・レイがシュルレアリストと共通するものを感じとり、シュルレアリスム革命誌に作品を取り上げた。とあって。シュルレアリストと共通するものを感じとるってなんと感覚的な…って気になったので行ってきました。
アジェの作品はとても詩的でした。
記録、素材としての写真のはずなのに、どこか物語性を帯びているように感じてしまう。写真に込められた思いや思想を探そうとしてしまう。静かなパリの街に何かを感じて、アジェはシャッターを切ったのだろうか。
現代にとってはありふれた写真の構図なのに、写真を撮るぞ!街を撮るぞ!こういう街を撮りたい!そういう欲みたいなものは作品からは、全く感じられなかった
作り物じゃない、狙っていない、わざとらしくない。ただそこにある街並みを切り取る。ただそれだけ。
ただそれだけなのに、無機質ではなくて、なぜかもっと深くに何かがあるように感じてしまう。
とても不思議な写真でした。もっともっと観てみたくなる。きっとそういうところに、マン・レイもシュルレアリスムを感じたのかも。よくわからないけれど。
(memo. 近代写真の先駆者/ フォトグラム/ ピクトリアリズム)
Eugène Atget: Paris (Bibliotheca Universalis)
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- 発売日: 2016/11/16
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みかん。
■ 草間彌生 my soul forever / フォーエバー現代美術館 ¥1,200
京都に新しく出来た美術館に行ってきました。 祇園ど真ん中。
美術館といっても、建物は、伝統的な日本家屋(有形文化財の八坂倶楽部という場所らしい)でこじんまりとしていて、美術館というよりギャラリーな感覚。
原美術館のような規模で、一階・二階、そして日本庭園。カフェもあり。
日本家屋なので、靴を脱いで鑑賞。畳に障子。
草間彌生さんの作品と畳の親和性なかなか面白かったです。
草間さんは、ダダっぽいアーティストだと思っていたけれど、日本に戻ってきてからの作品は、結構日本っぽい?作品が多いんだなあと思った。
色味や雰囲気が、雪国の冬、家の中 って感じでした。とても感覚的な印象ですが。
寒いんだけど、暖かいみたいな、おこたに入ってぬくぬくしてるけれど、外は雪景色みたいな?
お写真撮れる作品も数点。美術館の入り口には、あの大きなかぼちゃもあったので、これからも祇園に行った際にふらっと立ち寄りたい。
そういえば、museum とgallery ってどう違うんだろう。アカデミックかそうでないかの違い?
シャンソン。
■ パリ・グラフィック ロートレックとアートになった版画・ポスター展 三菱一号館美術館 / ¥1,700 (¥1,500)
いいなあ、こんなポスターが街中に溢れ、シャンソンで賑い、人間的というより動物的で、でも哲学的で生きづらい、古典から現代への変わり目。この時代は、面白い。うらやましい。この時代を生で感じてみたかったっていつも思う。
ファン・ゴッホ美術館。本館に行ったことがあるのですが、浮世絵が多数展示されていて。印象派と知らず印象派が好きで、知識なく好きな画家の美術館を巡っていた時があったのですが、この美術館に行って、日本とゴッホやら他の印象派の関係を知って、だから好きだったんだなあ、と思ったことを覚えています。日本人。
そのファン・ゴッホ美術館と三菱一号館のコレクションを展示している今回の企画展。シューベルトの音楽が流れていたり、19世紀パリの写真が飾られていたり、当時を追体験できるような展示方法で、とても面白かったです。
ナビ派というワードがたくさん出てきたので、ナビ展行った人は楽しめると思うし、今上野でやっているジャポニズム展と併せて行っても、時代がかぶっているので楽しいと思う。
三菱一号館、やっぱり好きです。たぶん私は、芸術を通じて、その当時の時代背景だったり民族性を知ることが好きなので、多角的に情報を与えてくれる三菱一号館さんの企画展は、本当に面白いのです。
memo ピエール・ボナール 小さな洗濯女(茶色の発色が綺麗。)
パリ・グラフィック: ロートレックとアートになった版画・ポスター展 (単行本)
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いったりきたり。
■ 婚約者の友人 (2016)
もともと戯曲が原作らしく、それは1930年代のものだからいいとして、どうしてフランソワオゾン監督は、この原作を選んだんだろう。
戦争に対して、憎んでいた人も、反省していた人も、何かを失った人も、それを乗り越えた人も、WW2に向かっていく史実を私たちは知っているので、とてもアイロニーな作品だった。この後また、フランスとドイツは戦うけれど、アンナはその時、どちらの国にいるのだろう。
フランソワ・オゾン監督という情報だけを耳に入れて、劇場に向かったので、冒頭、耳が迷子になった。最初は、ドイツが舞台だったのでドイツ語だったのでした。ダンケシェン。
ドイツのシーンはドイツ映画っぽく、無機質・幾何学的で、フランスへと舞台が移ると、フランス映画っぽく情感たっぷりに撮られていて、面白かったです。
この監督さんは、実は結構辛辣に社会を批判しちゃうメッセージ性強めな作品を撮る方だなあ、と思っているけれど、これも違わず。
真実至上主義、嘘潔癖症気味な現代に対するアンチテーゼなみたいな映画だなあ、と。
嘘を重ねても、それがばれないのは、情報伝達網が発達していない時代のおかげで。
もし、これが現代だったら、すぐに嘘だってばれてしまう。
でも、嘘が正しいこともあるよね、きっと。って。
嘘に救われたり、他の場所に逃げて新たな人生を始めたり、そういうことは、たぶん現代ではできない。
今のご時世、世界は繋がりすぎているので、探られたら、すぐばれちゃうもんね。
懺悔のシーンでの牧師さんの台詞と、アンナの自殺に対する思いの台詞が直接的だったことが、とても印象的です。
モノクロとカラーをいったりきたりする演出は面白かったけれど、
特に最後のシーンで、化粧も顔つきもパリジャンになっていたアンナの佇まいがとてもかっこよかった。
原題は Franz。婚約者のお名前ですけれど、ファニーのお兄ちゃんの名前はフランソワだし、もともとフランスの意だし、色々と考えてしまうのは、たぶん監督さんがフランソワ・オゾン監督だからなんですけれど。フランソワ。
容れ物は、とても収まりがよくて、一見するとハッピーエンドのように感じるのだけど、近づいてよく見ると、実は怖くて薄気味悪くてやっぱりホラー映画監督さんだと思う。フランソワオゾン監督って。好きです。
memo/ 音楽: フィリップ・ロンビ/ マネ「自殺」
エルンスト・ルビッチ監督作「私の殺した男」の原作としても知られるモウリス・ロスタンの戯曲を大胆に翻案して
きらきらの奥に光る灰色。
ピンクとグレーを観たのは、行定監督さんが菅田将暉や夏帆や柳楽くんや、中々面白い若手俳優さんを使いたい放題使っている!っていうひっかかりだったと思います。
そこで発見したわけです。中島くんを。この人かっこいいなあと思って、調べたところ、なんとじゃにーずのお方ではないですか。しかも、へいせいじゃんぷの中島くんじゃないのですか。
のぶたの弟くんがへいせいじゃんぷにいることは知っていたけれど、こんなに大きくなっていたとは…。
で、思ってしまったわけです。とても邦画俳優な空気感を持っている方なのに、ジャニーズにいてもったいないなあ、と。
ここでいう邦画って、商業映画って意味じゃなくて、あれです。これだから邦画()は…。ってよく皮肉の意味で使われちゃう、あの邦画です。
なんでもったいないなあ、と思ってしまったんだろうって。理由はたぶんいくつかあって。
ひとつめ。若いうちは、グループを大きくしなくてはいけないので自分だけのスケジュールで仕事を入れられないから、俳優業だけに専念できないこと。から、どうしても出る作品を選ぶ必要があって、主演ばっかりとか、大きな作品しか出られないこと。
ふたつめ。配給側もジャニーズに邦画俳優を求めていないし、ジャニーズも恐らく自分の子たちを邦画俳優にさせようとは思っていないこと。
みっつめ。グループの看板を背負っていること。中島くんは、ただの中島くんではなくて、へいせいじゃんぷの中島くんなわけです。良い意味でも悪い意味でも、中島くんのする仕事は、全部へいせいじゃんぷのお仕事の一部となり評価になるわけです。
中島くんは売り出し中のグループに所属しているので、自分だけのスケジュールで動くことはしばらくできないだろうし、グループにとってメリットがない映画には出ないだろうし、邦画っぽい邦画にたくさん出ることはないんだろうなあ…他の事務所の俳優さんだったとしたら、年数本、脇主役大作インディーズ関係なくひっぱりだこだったろうに…と、10周年ということで見る機会が増えたへいせいじゃんぷさんを見ながら思ってしまったわけです。
ジャニーズにも面白い俳優さんはたくさんいて、でもやっぱり優等生アイドルの仮面はどうしても外せなくて。グループを背負ってなくても、ジャニーズを背負っていて。
例えば風間くんは、ペダルダンスとか出てて、なかなか面白い俳優さんだなあ、と思っているのですが、少女椿に出演すると知って、え?彼ジャニーズだよね…?とびっくりして。実際、作品自体はなかなか攻めていたのですが、風間くんが出ているシーンだけは攻めきれていなくて。確か予告動画にもパンフレットにも、風間くんの姿はなくて。ああ、ジャニーズの俳優としての限界ってここなのかな、って思ったことを覚えています。
それに、映画はよくわからなかったけれど、かざまくんはかっこよかった…よ…たぶん…とファンをドン引きさせるという、考えてみたら当然な結果が生じただけだったのでした。 配給会社・事務所双方にメリットがなさすぎた…。
まあここまで極端な例でなくてもいいのですけれど。
もっと俳優さんしないかなあ、ジャニーズやめないかなあとか思いながら、歌番組で中島くんを観ること数か月。
なんで今回こんなことを書こうと思ったかというと、この間のどっきりを観て、ああ、中島くんはへいせいじゃんぷをやめることは絶対にないんだなあ、と思ってあきらめた(?)からです。
それでなくても、歌番組で楽しそうにアイドルしている中島くんをみていたら、アイドル楽しいんだろうなあって思うし、じゃんぷさん自体、なんだかわちゃわちゃしててかわいいなって思ってきたから、結果オーライ?です。ただ人数多すぎて、覚えるのに時間がかかったけれど。
昔の嵐さんに似ているなあ、と思います。わちゃわちゃ内弁慶具合も、できてからしばらく一般認知度が低かったことも。
今では考えられないけれど、昔の嵐さんは本当に認知度が低くて、ファンの人に、嵐って何してるの?人気なの?って聞くと、嵐は日本よりアジアで人気あるんだよ~今もアジアツアーしてるし!って通年言ってたくらい。
このご時世難しいかもしれないけれど、Love so sweetがじゃんぷさんにも生まれるといいね、と思いました。
中島くんはやっぱり邦画っぽくてかっこいいと思うので、これからも映画に出ることがあったらゆるりと追いかけてみようなかなあ、と思います。
邦画っぽいアイドル俳優さんが、これからジャニーズという制約の中でどういう作品を選んで、どういう俳優さんになっていくのか、ちょっと楽しみだったりします。
宝物。
国宝 / 京都国立博物館 ¥1,500
秋、紅葉真っ只中の京都。国宝展に行ってきました。
大混雑で入場するまで70分待ちとかだったんですけど、あの伝説の若冲展4時間待ちを経験した自分には、70分なんてもう全然余裕だもんね。ちょっと寒くてあきらめかけたけど。
大きな仏像・彫刻から、縄文土器やら、円山応挙やら、土偶やら、国宝というコンセプトで集めたので、ジャンルが幅広過ぎる。
あの作品学生時代の資料集で観たことあるやつ!ほんもの!と、テンションあがりっぱなしでした。
こんなに国宝集めて、保険いくらくらいかかったんだろう…でも、飛行機あんまり使わないし、輸送費は国外の作品集めるよりコストはあんまりかからないのかな…とかよくわからない見方をしてしまった…。豪華でした。
金印の展示期間に間に合わず、観ることができなかったのが、唯一の心残りです。
漢委奴国王。
発見する過去と。
■ 「北斎とジャポニスム」展 国立西洋美術館 / ¥1,600
上野はイチョウがちょうど黄色く色づいて、とてもきれいでした。
ジャポニズムは、印象派に影響を与えたことは知っていたけれど、アールヌーヴォーもそうだったとは知らなかったのです。
クラシックに息苦しさを感じていた若い芸術家たちは、たぶん西洋の様式にとらわれない"絵"を初めて知ってきっとわくわくしたんだろうなあ、西洋さん風に言うと、浮世絵の発見ってやつですね。
奥行がないぺたっとした絵が、絵だなんて、びっくりしたに違いない。
印象派を紹介する企画展では、音声ガイドの音楽にドビュッシーが使われることが多いので、借りるようにしているのです。印象派の音楽は、音がぽんぽん飛んで耳が心地よい。
比較対象は、推測の域を出ていない箇所もあったので、これからまだまだ楽しみな領域だなあ、と思いました。
オリジナルグッズが可愛くて、うろうろ買おうか迷ったけれど、なんとか踏みとどまりました。