感想文(本・雑誌)

梅雨が明けた頃に。

■ 水声 / 川上弘美 戦争のこと、サリンのこと、震災のこと。一本太い現実と。 愛と死と、そういう個人的なことと、 良い塩梅で絡めて、マクロ過ぎず、ミクロ過ぎず、すっと違和感なく、入ってくる。 好きってなんだろうって。生きるってなんだろうって。 社…

ピアスの穴を親指で触る。

生きやすくなったのは、生きやすい環境へ、ただ逃げただけで、たぶんなにも解決なんかしていない。 永い言い訳を読みました。映画を観た後、そのまま本屋さんへ向かい購入。 語り手が章によって異なるので、物語に入っていくのに時間がかかりましたが、ラス…

閉めて、塞ぎ、愛でる。囲う。

小川洋子さんのことりを読みました。 こんなにも息苦しくなって、読むのが辛くなった小説は初めてです。 重かった、とても重く、それでいてひんやりと冷たい。 冬の朝、裸足で木造の廊下を歩いている感覚。 ことり (朝日文庫) 作者: 小川洋子 出版社/メーカ…

結のない、終わり。

冒頭でぐっと心を掴まれたのは久しぶりです。 この作品をミステリーだったという感想を持つ人もいると思うけれど、私はそういう風に感じなかった。まず、この作品は何も解決していない。何も。そして、全ての話に絶対的な結がなく、また事実に対する背景描写…

無題だった模様。

自分の中で第一次邦画ブームが起きた時、何を見たら良いか調べて行く中で、どの記事でもおすすめされていた、ゆれる、という作品。 DVDのパッケージジャケットの淡い緑の中にぼんやりとのらりくらりと今にも壊れそうな雰囲気で立っているオダイギリジョー。…

すこしだけ青。

最近女優さんのエッセイばかり読むなあ。 中谷美紀さんは、とても大好きな女優のお一人。なにかの番組で、お着物を召していたんだけれど、それがとても似合っていたことが印象に残っていて。 かっこい女性だなあ、って。 そして、インドの紀行本を出している…