フランクホーヴァット写真展

■ フランクホーヴァット写真展  シャネルネクサスホール 無料

 

ドアマンが開けてくれた世界の向こう側には。

 

ファッションだけではなく、色々な写真があったのだけれど、一番印象に残ったのは、

群衆の中で険しい顔をしてこちらを見つめている女性のお写真でした。

 

なんでこんなに物憂げな表情なんだろう、この人だかりはなんなんだろう、と思って題名を読むと、”ギャラリーラファイエット百貨店近くにて、クリスマス前の買い物客たち”

 

どうやら年末の買い出しに来た人たちのお写真だったらしい。なぜそんなにも険しい表情をして、買い物をしなくちゃいけないのか。しかもハッピークリスマスの時期に。

 

この時、女性が何か個人的に深刻な問題に直面していたかもしれない。

もしくは、社会的に何か問題があって、クリスマスなんか楽しんでいられない風潮だったのかもしれない。

けれど、そういえば自分も年末は、買い出し大変だなあ、寒いなあ、面倒だなあ、ううう。と思いながら、忙しなく動いていたよなあ、でもなんだかんだ楽しい年末を過ごしたなあ、と思い出して。確かにこういう顔になっちゃうときもあるよなあ、クリスマス前だったとしても。と思ったのです。 大変だよね、年末の買い出し。

 

どうしてこの写真が、もっと社会的な問題に直面していて、それに対するアンチテーゼを含んだ写真だと、自分は感じたのか。価値観が凝り固まってないかい?って言われたようで、なんだか勝手に一本取られた気がして、おもしろくて笑ってしまったのです。

 

人間の感情は、現象の大小に関わらず、個人の物差しで測ることしかできない。

写真はただその現象を切り取っているだけで、その撮られる側の感情と、撮る側の意向と、それを観る人の感想は、ちぐはぐで相容れなくて、だから写真って面白いなあと思う。

 

 

ポスター フランク ホーヴァット Paris 1957

ポスター フランク ホーヴァット Paris 1957