結のない、終わり。

冒頭でぐっと心を掴まれたのは久しぶりです。

 

この作品をミステリーだったという感想を持つ人もいると思うけれど、私はそういう風に感じなかった。まず、この作品は何も解決していない。何も。そして、全ての話に絶対的な結がなく、また事実に対する背景描写もない。

灰田の父の話、灰田の話、シロの話、アカの話。ただそこにある現象を、現実として説明しているだけ。現実かどうかもわからないけれど。共通性がなく、つくるが雑踏の中無理やり共通性を作っていていて、ある意味リアリズムだなあって。

つくるを通して、過去に対して、現実に対して、どういう風に対処していくべきかを、説明してくれて、そして、生き残った者は生きなくちゃいけない、という強いメッセージがあったように思いました。ある種、自己啓発のような本だなあ、という印象。 とても面白かったです。

 

やっぱり好きだ。

 

 

声と音と、記号と意味と。

表現をするっておもしろい。

自分も、インプットするだけの落書き帳みたいな大人じゃなくて、アウトプットもできる、誰かの記憶の中を土足でお邪魔して縦横無尽に駆け回り、そして春風のようにあっというまに去っていく、でも、少しだけ残香を残す、そんな大人になりたかった。

 

 

様々なジャンルの表現者が、自分の才能を惜しみなく、ひとつの作品に注ぐ。そこには、それぞれのホームにいただけでは生まれなかったであろう化学反応を生み出し、新しく、まだ誰も見たこともない世界が広がる。なんて、言葉にしたら、なんだか陳腐で安っぽい気がするけれど。

ありがたいことに前から数列目という素晴らしい座席のおかげで、演じている方、歌っている方、パフォーマンスしている方、みなさんのお顔の表情まで拝見できたのは、贅沢だったかと。

青葉市子さんの歌声が、とてもすてきでした。cocoonを観に行けなかった、観に行かなかったことを少しだけ後悔。最後のおじぎがなんだか不器用で、でもとても丁寧で、この人がさっきまで、この舞台の世界を堂々と引っ張っていた方と同じ人なのか、と。是非今度はたっぷりともっと彼女の世界にひたっていたい。ライブがあったら、いってみたいなあ。

 

素敵な時間でした。贅沢な時間。またあれば、是非行きたい。

 

よみうりホール (20151025)

 

 

 

無題だった模様。

自分の中で第一次邦画ブームが起きた時、何を見たら良いか調べて行く中で、どの記事でもおすすめされていた、ゆれる、という作品。

 

DVDのパッケージジャケットの淡い緑の中にぼんやりとのらりくらりと今にも壊れそうな雰囲気で立っているオダイギリジョー。あの画面が絵として完璧で、きっとこの映画を観てしまったら、私の中でもう邦画には満足しちゃうんだろうなあ、なんて曖昧で、でも強い確信があって、観るのを保留していた作品。

そんなこんなで初めての西川作品は、西川監督だと知らずに観たディア・ドクターでした。鑑賞後、直ぐに監督を調べて、ゆれるを撮った監督さんだと知って、我慢できずに観てしまったのがもう数年前のこと。

どちらの作品も、人間として生きることと、大衆の中で社会人として生きること、の二つ交差が不安定だけど絶妙に絡み合って、ラストに向けてテンポが良くなる感じ、とても好きな作品です。

脚本もご自分で書かれていて、今年、永い言い訳が直木賞候補に挙がっていことを知り、小説家・西川美和のことも気になっていたのです。

今回読んだのは、小説ではなくて、おそらく何か媒体の連載エッセイをまとめたもの。彼女はどんな文章を書くのか、人間臭い、けれど、客観性のある、あの絶妙な感覚の映画を撮る監督さんの頭の中はどうなっているのか、気になったのが、この本を手に取った理由です。

読了後の結論は、この人本人が、とてもバランス感覚の良い方で、且つ、きちんと丁寧にアウトプットできる方なんだなあ、という印象を受けました。才能。

夢見るふたり、のことも取り上げられていて、気になって鑑賞。フィルムなのか、デジタルなのか、気にして観てみましたが、私には残念ながらというか当然ながら、ちっともわかりませんでした。

 

永い言い訳、映画が楽しみです。

 

 

 

 

夢売るふたり [DVD]

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リップスティックは赤。

フランソワ・オゾン監督ってホラー監督だよね。違う?

 

セクシュアル恋愛うんぬんではなく、もっと深いところの人間の欲望だったり、共依存的感覚や、繊細で弱い感情の揺れ、ここら辺をアンバランスに描くから、印象にがつんと残る。そんなにこの監督さんの作品を見たことがないのに。

不安定で不協和音なのに、それがとてもバランス良く、心地良くそして調度良いのです。

今回の作品も、ハッピーエンドなのか、無理やりハッピーエンドにされたあの感じ。ぞぞぞっと鳥肌が立って、終わる、期待通りでした。

結局ローラを求めている、弱くて脆い結びつき。こわい。

 

今後、街中でRIMOWAのスーツケースを持っているお洒落な男性を見かけたら、きっと中身を疑っちゃう。

 

 

サランラップと食パン

小説を読んでから観ようって決めてたんだ。

 

ので、ようやく鑑賞。この前読んだので。

映画化にOKを出したポイントは何処だったんだろう、なんて中身とは関係ないところが気になって。観てもよくわからなかったけれど。

恋人役の女優さんが綺麗。ソニア・キンスキーって方? 

地震やカルト的要素はぐぐっと薄まって、少しだけ宗教的でした。

 

映像は綺麗だったなあ、最後の踊っちゃうシーンはなんだか面白くて笑っちゃったけど。

 

 

神の子どもたちはみな踊る [DVD]

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すこしだけ青。

最近女優さんのエッセイばかり読むなあ。

 

中谷美紀さんは、とても大好きな女優のお一人。なにかの番組で、お着物を召していたんだけれど、それがとても似合っていたことが印象に残っていて。

かっこい女性だなあ、って。

そして、インドの紀行本を出している事を知り気になっていたのですが、数冊出ていて(しかも分厚い)果たしてこの方の文章は自分に合うのか合わないのかわからないから、手が出せない。そんななか、文庫の新刊コーナーで見つたので、すぐ購入。

エッセイなのに段々とまるで論文を読んでるように感じて、少しだけ疲れてしまったけれど、日本人として、凛と生きる姿がかっこいい。自分に厳しい方なのだなあ、と思います。

 

日本の文化っていいよね。だいすき。外に出たからわかる、内。

 

女心と秋の空 (幻冬舎文庫)

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