ハッピーエンドのエンドは本当にエンドのことでした。
休日の爽やかな朝にふさわしい、何か楽しい映画が観たいと思い映画館へ。
遠目から見た広告とタイトル、そしてイスラエル映画楽しそう。ということで、内容確認せず鑑賞。(イスラエルはいつか絶対に行きたい場所10位内に入る場所なのです。個人的に。)
結論から言うと、休日の爽やかな朝には全くふさわしくない映画でした!
イスラエル映画を観るのは、2本目。初めてイスラエル映画(迷子の警察音楽隊/2007)を観た時も、ここは笑いどころ・・・?なのかも?しれない・・・?と、イスラエル人との笑いのつぼの違いを最後まで埋めることができなかったかれど、今回も笑いどころが相変わらずシュールでした。
しかし、安楽死の是非を問う倫理観は、万国共通。どの国の人でも、誰しもが一度は考えたことのある問題かと思います。
自分の大切な人が、強く死を願ったら、それを私は助ける事ができるだろうか。たぶん私には出来ないや。
奥さん役の女優さんが、とても素敵でした。レバーナ・フィンケルシュタイン。
休日の朝にはふさわしくなかったけれど、作品としてはとても好きです。
閉めて、塞ぎ、愛でる。囲う。
結のない、終わり。
冒頭でぐっと心を掴まれたのは久しぶりです。
この作品をミステリーだったという感想を持つ人もいると思うけれど、私はそういう風に感じなかった。まず、この作品は何も解決していない。何も。そして、全ての話に絶対的な結がなく、また事実に対する背景描写もない。
灰田の父の話、灰田の話、シロの話、アカの話。ただそこにある現象を、現実として説明しているだけ。現実かどうかもわからないけれど。共通性がなく、つくるが雑踏の中無理やり共通性を作っていていて、ある意味リアリズムだなあって。
つくるを通して、過去に対して、現実に対して、どういう風に対処していくべきかを、説明してくれて、そして、生き残った者は生きなくちゃいけない、という強いメッセージがあったように思いました。ある種、自己啓発のような本だなあ、という印象。 とても面白かったです。
やっぱり好きだ。
声と音と、記号と意味と。
表現をするっておもしろい。
自分も、インプットするだけの落書き帳みたいな大人じゃなくて、アウトプットもできる、誰かの記憶の中を土足でお邪魔して縦横無尽に駆け回り、そして春風のようにあっというまに去っていく、でも、少しだけ残香を残す、そんな大人になりたかった。
様々なジャンルの表現者が、自分の才能を惜しみなく、ひとつの作品に注ぐ。そこには、それぞれのホームにいただけでは生まれなかったであろう化学反応を生み出し、新しく、まだ誰も見たこともない世界が広がる。なんて、言葉にしたら、なんだか陳腐で安っぽい気がするけれど。
ありがたいことに前から数列目という素晴らしい座席のおかげで、演じている方、歌っている方、パフォーマンスしている方、みなさんのお顔の表情まで拝見できたのは、贅沢だったかと。
青葉市子さんの歌声が、とてもすてきでした。cocoonを観に行けなかった、観に行かなかったことを少しだけ後悔。最後のおじぎがなんだか不器用で、でもとても丁寧で、この人がさっきまで、この舞台の世界を堂々と引っ張っていた方と同じ人なのか、と。是非今度はたっぷりともっと彼女の世界にひたっていたい。ライブがあったら、いってみたいなあ。
素敵な時間でした。贅沢な時間。またあれば、是非行きたい。
よみうりホール (20151025)
無題だった模様。
自分の中で第一次邦画ブームが起きた時、何を見たら良いか調べて行く中で、どの記事でもおすすめされていた、ゆれる、という作品。
DVDのパッケージジャケットの淡い緑の中にぼんやりとのらりくらりと今にも壊れそうな雰囲気で立っているオダイギリジョー。あの画面が絵として完璧で、きっとこの映画を観てしまったら、私の中でもう邦画には満足しちゃうんだろうなあ、なんて曖昧で、でも強い確信があって、観るのを保留していた作品。
そんなこんなで初めての西川作品は、西川監督だと知らずに観たディア・ドクターでした。鑑賞後、直ぐに監督を調べて、ゆれるを撮った監督さんだと知って、我慢できずに観てしまったのがもう数年前のこと。
どちらの作品も、人間として生きることと、大衆の中で社会人として生きること、の二つ交差が不安定だけど絶妙に絡み合って、ラストに向けてテンポが良くなる感じ、とても好きな作品です。
脚本もご自分で書かれていて、今年、永い言い訳が直木賞候補に挙がっていことを知り、小説家・西川美和のことも気になっていたのです。
今回読んだのは、小説ではなくて、おそらく何か媒体の連載エッセイをまとめたもの。彼女はどんな文章を書くのか、人間臭い、けれど、客観性のある、あの絶妙な感覚の映画を撮る監督さんの頭の中はどうなっているのか、気になったのが、この本を手に取った理由です。
読了後の結論は、この人本人が、とてもバランス感覚の良い方で、且つ、きちんと丁寧にアウトプットできる方なんだなあ、という印象を受けました。才能。
夢見るふたり、のことも取り上げられていて、気になって鑑賞。フィルムなのか、デジタルなのか、気にして観てみましたが、私には残念ながらというか当然ながら、ちっともわかりませんでした。
永い言い訳、映画が楽しみです。
リップスティックは赤。
フランソワ・オゾン監督ってホラー監督だよね。違う?
セクシュアル恋愛うんぬんではなく、もっと深いところの人間の欲望だったり、共依存的感覚や、繊細で弱い感情の揺れ、ここら辺をアンバランスに描くから、印象にがつんと残る。そんなにこの監督さんの作品を見たことがないのに。
不安定で不協和音なのに、それがとてもバランス良く、心地良くそして調度良いのです。
今回の作品も、ハッピーエンドなのか、無理やりハッピーエンドにされたあの感じ。ぞぞぞっと鳥肌が立って、終わる、期待通りでした。
結局ローラを求めている、弱くて脆い結びつき。こわい。
今後、街中でRIMOWAのスーツケースを持っているお洒落な男性を見かけたら、きっと中身を疑っちゃう。