射す光は、婉曲に曲がって。

新海監督の作品は、言の葉の庭が好きです。

 

撮りたい画を撮る為に、役者やスタッフを振り回す、そんなことをしなくても、アニメでは欲しい画を描くことができてしまうんだ。そうしたら、アニメはもっともっと邦画に浸食しちゃうかもしれない。って、言の葉の庭を観た時に思いました。

好きな時に、雨を降らせ、雲を描き、実写じゃあり得ない角度から光を入れる。欲しいところで、空に飛行機を飛ばし、欲しい時にカラスを鳴かす。

油絵しかなかった時代にカメラをみつけた芸術家みたいに、アニメを見つけた芸術映画監督さんたちはどんなアニメーション映画を作るんだろうって。

 

君の名は、を観ました。本当は地上波を待つ予定だったけれど、だってとても話題だったから。RADWIMPSが全曲提供していることや、新海監督が監督をしていること、日本だけでなく海外でも大ヒットしていること。それに、あまりにもロングランしているので、映画館にふらっと行ったらいつもやっていて、サブミナル効果?

 

ストーリーは、物凄くテンポがよくて、ぐうっと引きこまれました。日本人的な考えである、"縁"みたいなものを描いていておもしろいなあとも思いました。冒頭のシーンで、ぽんぽん二人が成長したり若くなったり、最後まで観てなるほど、って。

 

映像も、もちろん綺麗で。特に夜空の絵。あんな拡がりを演出できちゃうのは、やっぱりアニメーションはずるいなあって思ったり。

 

RADWIMPSの音楽が、もともと好きなので、彼らのPVみたいにも楽しめたり。

 

色々な楽しみ方があって、なんだかんだ5回ほど観たのですが、観終わった後に、少しだけ気になっちゃったところが一点だけあって。あったことをなかったことにしちゃうのかなって。現実は、喪失を受けれ入れて進んでいかなくちゃいけないのに。そういう意味では、この作品はアニメなのかも。

個人的に、生まれ変わりやタイムトラベルやら夢落ちやら、元に戻す、という終い方があまり好きではなくて。個人的趣向の問題。

 

流れるエンドロールを観ていたら、今のアニメ界の勢力全部つぎ込んで作りました!!!って錚々たる名前があって、監督・脚本として新海監督の名前はあるけれど、自由にやれたわけじゃないんだろうなって少し深読みしたりしなかったり。

 

新海監督は、次はどんな綺麗な画をみせてくれるんだろう。楽しみ。