60 (rokujuu) ひびのこづえ展

■  60 (rokujuu) ひびのこづえ展 (2018.04.06-06.24) 市原湖畔美術館 / ¥800 

 

市原湖畔美術館に行きました。ずっと気になっていた美術館だったのですが、アクセスがあまりよろしくない。

行きたいなあ、でも、少し遠いなあ、と思い続けて早数年。

「行ったことのない美術館やギャラリーに足を運ぶこと」が、今年の小さな目標のひとつなので、ようやく行ってきました。

 

開催中の企画展は、ひびのこづえ展。

コスチュームアーティストで、野田秀樹の舞台衣装を多く手掛けている方らしい。

(舞台に疎い自分でも知っているお名前!)

 

美術館の空間を自由に使い、衣装が飾られていて、ファッションショーを観ているみたいでした。モデルが歩くのではなくて、観客側が歩いて回るファッションショー。

 

美術館をぐるりと歩いてみて、表参道のSPIRALみたいな空間だなあ、と思ったけれど、ひびのこづえさんの年表によると、SPIRALで何回か展覧会をやられているそうなので、そのせいなのかもしれない。作品がSPIRALっぽいのだと思う。グレーで冷たいまるいお部屋にカラフルな作品が吊るされている感じが。Spiral。

 

展示会冒頭に、糸井さんのお言葉があって、ふむふむと思ったのですけれど、webにもあったので。

アートって、どうしても、「展示される」ことで、
わかっている人たちだけの間に、
閉じこもってしまうところがありますから。

http://www.1101.com/hibinokodue60/index.html

 

湖畔美術館は、たしかにアクセスは良くないけれど、ちょうどよい空間でした。高滝湖を一望できて、まわりに高い建物もないので、解放感がある。気持ちい。いい感じの美術館だなあ、って。

 

そうだ、ちょうどアートいちはら2018春が開催されていました。

住民を巻き込むアートは難しい。そう思いました。

アートの定義が、あやふやなので、それを定めるところから始めないといけないから。

地域振興という意味ならば、養老渓谷の方がアートだったかなあ、って。綺麗だったなあ、青紅葉、と青空。

 

 

 

shopでは、色々なデザインのハンカチがあって、とても素敵でした。

 

 

 

名探偵コナン ゼロの執行人

GWなので、映画館へ。

 

名探偵コナン ゼロの執行人 (2018 日本) / TOHOシネマズ

 

昨年、久しぶりにコナンくんの映画を大きなスクリーンで観て、なるほど!アクションシーンが無駄に多い意味!と、昨今、なぜコナンくんの映画はとりあえず建物を破壊しまくるのか、という疑問を解決してくれました。

そして、来年も大きなスクリーンでみたい!迫力!と思いました。

 

そして、本編終了後の予告が完璧すぎて、来年も観に行きたい!と単純に思いました。

東京の夜をズームアウトしてからの、カウントダウンは、かっこよすぎた。

(あの予告もう1回みたい…)

aieou.hatenablog.com

 

というわけで、今年もコナンくんの映画を観に行きました。

 

安室さんがかっこいい!日本になりたい!と話題の本作ですが、私の中の安室さんのイメージは、赤井さんを目の敵にしすぎていて、赤井っ・・・!!ってとりあえず言っているイメージで、正直日本のことなんか考えているようには思えない…。

なので、安室さんがかっこいい・・・?と思っていたのですが、安室さんたしかにかっこよかった!!!

  

今回の映画は、実写刑事ドラマみたいな脚本で、検察やら警察やら警視庁やら警察庁やら、知識がない自分には少し難しくて。 とりあえず、警察庁公安と検察庁公安があることはわかったのですけれど、検察と警察って台詞聞き取りにくいじゃないですか。けんさつ?けいさつ?今度はけいさつ?とか思っている間に、安室さんとコナンくんがど派手にアクションやらかしていつのまにかハッピーエンドで終わってました。

 

でも、コナンの映画は、もともと内容を理解しようと思って観ていないから、そこは大丈夫です。

映画だけれど、映画だと思ってみていない。だから、映画的に素晴らしいかと言われたら、それはわからない。

今回の作品も、恋人いるの?っていう台詞あるけれど、実写映画で、しかもシリーズものではない単発の映画だったら、へ??突然なんでこのタイミングで?!?!?ってなるでしょ。でも、コナンだから、気にしない!そういうことです。 

 

  

安室さんは公安ですが黒の組織に潜入捜査しているという設定で、組織の人として描かれることが多かったのですが、この映画は、公安としての安室さんだったので、ふむふむ普段はこういう仕事をしているんですね、って思ったけれど、

こんなにバリバリ公安の仕事をしているのであれば(灰原さんが、テレビに映った爆破シーンを観て、安室さんじゃない!?って気づいちゃうくらい)、黒の組織にもすぐにばれそうなのだけれど、まあ、黒の組織って最近ぽんこつだから…笑

 

それよりも例の音声が抜けていて口パクになっていたシーンで、古谷って言ったのか、バーボンって言ったのか気になる。

こう言う風に、黒の組織情報をほんの少しほのめかしてくることも、映画館でいち早く見たくなる理由のひとつかも。

 

 

コナンくんの映画は、いい意味でとても娯楽で、終わったあとに、あーだこーだと考察することもなく、楽しかったー!で終わるのですけれど、今回は少し考察したくなるような、きちんと筋が通っている映画でした。

 

脚本の櫻井さんは、人間模様を丁寧に表現するストーリーを作る方だなあ、という印象があって、それが今回のコナンの世界観に上手にフィットしたのだと思う。

立川監督も、デスパレードしか知らないけれど、そういう監督さんのイメージなので、来年からも爆発どーん!という視覚的なことは前より抑えられていくのではないかなあと思ったり。

メッセージ性が強い作品が増えるのかなあ。でも、あまりリアルに寄りすぎないで、説教臭くならないといいなあとは思います。ただ、楽しめるだけでいいのです、コナンさんは。アシンメトリーとか富士山とかそういう理由でいいのです、動機は。

 

 

演出的には、結構実写よりだなあ、と思ったカットが多くて。(最近のアニメーション映画の流行りなのかな?)このところ、「君の名は」とか「この世界の片隅に」とか「進撃の巨人」を観て、アニメってずるいなあ、って思うことが多かったのですけれど、コナンくんの映画でまさかずるいなあ、って思うとは思わなかった。

 

 

ああいうアクションシーンは、実写でやろうと思っても難しいだろうし。

電話ボックスの空の広がりのシーンや、上から人物を撮って風で葉が舞うシーンは、

やっぱり実写よりアニメの方が、撮りたい絵を取れるんだろうなあ。って思ってしまった。

 

 

予告の入り方が、いきなり台詞だったので、余韻があまりなくてさらっと終わってしまったけれど、来年も楽しみです!

 

 

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古谷さんでなくて、降谷さんだった。と、気が付いたのは、降谷という名字は日本に30人くらいしかいないのに、降谷ハンコの注文が殺到しているっていうニュースを観たから。すごい…。(2018.05.25〉

 

ファーストディだったので、もう1回観に行ってきました。記憶違いのこととかあったけれど、まあ、そのままで。(2018.06.01)

至上の印象派展 ビュールレ・コレクション

■ 至上の印象派展 ビュールレ・コレクション展 国立新美術館 / ¥1,600 (¥1,400)

 

 

エミール・ゲオルク・ビュールレ(1890-1956年)

 

ビュールレさんは、第二次世界大戦中、武器商人として富を築き、そのお金で、美術品を収集した。ドイツで生まれスイスで過ごし、青年期は、美術を勉強していた。

 

彼は、自分のコレクションに対し遺言を残さず亡くなり、その後家族が財団を設立し、彼が長年住んでいたチューリヒの邸宅を美術館として作品を展示。1960年にオープン。

 

2008年に強盗団によって、4作品を盗まれる。(その後発見されるが)

セキュリティの懸念から、2020年チューリヒ美術館に作品を移管予定。

 

 

美術とは何か、絵の価値とは。絵の所有者とは。

先日、婚約者の友人(フランソワ・オゾン)で見た、マネの自殺は、ビュールレ・コレクションが所蔵しているそう。

劇中にあったように、戦時中は、本当にルーヴルにあったのだろうか。

 

 

金曜日の夜、20時まで開館しているので行ってきました。

土日より人は少なくゆっくり観ることができて。

モネのヒナゲシ畑とウォータールーの前で、ずーっとぼーっとしていました。

睡蓮のみ、お写真がOKということで、閉館ぎりぎりまで絵の前に人だかりが出来ていましたが。

 

この作品って個人蔵だったんだ…と驚きできした。

財団を設立して運営していたから、厳密的には個人ではないけれど。

印象派が好きな人は、とても楽しめる、というか、絶対に行った方がいい展覧会だと思います。

作品数は60数点と少なめかな?と思いましたが、一枚一枚が濃いです。

生では見たことないけれど、知っている、そんな作品だらけです。

知らなかった!初めて見る!こんな絵も描いていたんだ!そんな作品だらけです。

とにかく有名な画家の作品しかない。

個人的には、ドラクロワのモロッコのスルタンが好きです!でも、ルノワールによるシスレー肖像画も捨てがたい…ゴッホの種まく人も黄色が綺麗で…シスレーの日本初公開ハンプトン・コートのレガッタも・・・・とにかく全部良かったです。

 

■ 

 

ビュールレ・コレクションの公式HPなのですけれど、この日本の展覧会のことも紹介していました。東京新聞って、東京の新聞だと思っていたのですけれど、名古屋に拠点がある?会社さんなんですね。 

 

印象に残った箇所を。

there is no doubt that museum visitors in the country will recognise and appreciate the quality of the works on display.

www.buehrle.ch

 

 

 

無限未来。

■ 無限未来 / Perfume 

 

 2018年のPerfumeは、大自然の中、シンプルな黒い衣装でコンテンポラリーダンスを踊るよ。と、2012年頃、Spring of Life を聴いている自分に教えてあげたい。

 

Perfumeの無限未来FULL  PV(監督:田中裕介)を観ました。まとまらない感想文。

 

SoL のPVは外の世界に行こうとするけれど、結局それは叶わないんだよね。

人間って、与えられた環境から、大きく逸脱することはなんだかんだ出来なくて。

今いる場所を受け入れて、その中で自分が出来ることを知って、

その中で勝負しなくちゃいけないんだなあ、結局。って

当時の自分の環境と重ねて、思ったことを覚えています。

ちょうど大人というものを理解し始めた頃のお話。今もよくわからないままだけれど。

 

無限未来を初めて聞いた時、ミニマムだなあ、って思って。

音楽の専門的なことはわからないので、様式として音楽にミニマリズムが存在するのかはわからないけれど。

印象として、リフレインが多いし、置かれている言葉も少なくて。

飾り付けをして美しさを足し算するのではなく、どんどん引き算してピュアにしていく感覚。

なのでspending all my timeみたいに、意味が理解できる言葉が逆に印象に残る。

 

PVも壮大なのですけれど、とてもミニマム。

途中でオブジェが出てくるけれど、近代的でミニマリズムで。

自然の中、突然無機質で人工的なモノが入ってくる。

それが違和感で、逆に印象に残る。

 

最初short PVで、オブジェを観た時は、ジャージャンクーの映画みたいだな…って思ったりしたけれど。

様式としてのシュルレアリスムマグリットのように、違和感ない場所にほんの少しだけ非日常を入れちゃうことによって、逆に印象にがつんと残るような、そんな感覚。こういう効果ってなんて言うんだっけ…。

  

PVの最初と最後が同じ構図なのは何か意味があるのかなあ。と考えてみたけれどよくわからないです。時系列なのかな?

 

 

それにしても最近のPerfumeは大人の女性のかっこよさ、みたいなのが染み出てる。

飛ぶよ、are you ready?とかあんな顔で言われたら、はい!ってなるよね。笑

 

無限未来(初回限定盤)(DVD付)

無限未来(初回限定盤)(DVD付)

 

 

 

この世界の片隅に

■ この世界の片隅に(2016)

 

公開二日目にたまたま観に行って、気が付いたら今まで何回観たのだろう。

感想を書いては消し、を繰り返し、しっくりこないまま下書き保存で放置。

 

無理やり感想をまとめるならば、"なんかよくわかんないけどとにかくすごい。”

 

■ 前提として

 

日常が非日常になってしまう感覚を、そしてその非日常に適応し、いつのまにか日常になってしまう感覚を、自分は311で経験しました。幸いなことに、直接的な被害はなかったけれど。

 

数時間おきに起きる余震が数週間続いて。

計画停電が計画的に起きないことに混乱して。

放射線のニュースに困惑し、情報が錯乱していて。

世の中は自主規制だらけだった。

 

あの時、今思えば非日常だった。

 

でも、自分は、そんな非日常を非日常なりにきちんと過ごしていて。

 

余震にいつのまにか慣れて、この地震震源地遠そう~なんて会話を食卓でするようになった。

放射線を測る装置を購入し、シーベルトなんて言葉を日常的に使うようになった。

魚を控えたり、食べ物に関しても工夫をするようになった。

 

もっと大きな非日常が私の前に立ちはだかっても、生きている限りは、きっといつのまにかそれなり適用して日常になってしまうんだろう。そして、辛いけれど、案外四六時中辛いだけでもないのかもしれない。

これが、私が311から学んだことでした。

 

この世界の片隅に、という作品の映画化は震災前に決まっていたということだけれど、震災を経験していなければ、ここまでこの映画に対し、自分の経験にまで落とし込んで、すずさんの生きた時代を感じることが出来なかったかもしれない。そう思います。

 

そういう意味では、311の後で、この映画を観ることが出来てよかったです。 

 

■ 娯楽映画として

 

まず、単純に映画作品として非常に面白いです。 

 

時代は戦争時代だけれど、すずさんの日常を覗くような作品で

何が起きても、時間は平等に過ぎていくし

その中で自分が選んだ決断に対して責任を持ち、現実を受け入れ

煌びやかで目立つような人生ではなくとも

一生懸命日々を生きていくしかないんじゃないかなあ、よくわからないけれどね。

 

と諭された気分になりました。勝手に。 押しつけがましくないんです。

だって、ただすずさんやその周りの人たちがそこで暮らしているだけだから。でも、ずしんと感じることが私にはあった。

 

■ 資料として

 

戦争に関することはもちろん、街並みや、当時の慣習、食事、天気まで。

細かいことまで気が遠くなるくらい詳しく調べてそれを忠実に描いている。

ということを、映画を観た後に知りました。

 

私は歴史にも地理にも詳しくない。ましてやその時代を生きていない。だから、この作品で描かれていることはどこまで本当なのかはわからない。けれど、なんだか本当のような気がする。そんな、奥行みたいなものを感じました。

 

広島の原爆ドームの周りがあんなに栄えた街だったなんて知らなかった。

ずっと昔から公園だと思っていた。

原爆の悲惨さはたくさん勉強したけれど、原爆の前のヒロシマはどうだったのか、だれも教えてくれなかったし、私も知ろうとしなかった。

戦時中の街並みに色があったなんて知らなかった。モノクロの資料ばかり観ていたからだろうか。

原爆の前も後も、日常があるのは変わらないはずなのにね。

よく考えたら、当時の広島にも、人の生活があることは、当たり前のことなのに、どうしても"原爆が落ちた悲惨な場所"で、思考が停止してしまったんだと思う。

 

この映画を観て、戦争時代の人たちの日常と、私たちのそれと、本質的には変わらないのかもしれないなあ、と思うことができたのです。

 

 ■ 戦争映画として

 

私が今まで観た戦争映画には、こういう日常は感じることは出来なくて。

過去にあったことなのに、どこかファンタジーとして認識してしまっていた気がする。

 

戦争時代って、"戦争期間がひょっこり突然現れてしまい、そこで生きる人々は四六時中戦争に支配され混沌としている。現代とは全く異なった日本。"という認識で捉えていたのかもしれない。

極端な話、作中の敵役が、米軍でもエイリアンでも戦いは怖いなあ~って思う、そういうレベルの理解。

 

戦時中と、現在を線で繋げることが出来ていなかった。

でも、この作品はそれを繋げてくれました。

 

そして、"戦争は日常を壊してしまうもの"なんだ、って発見することもできました。

だから戦争って怖い。だって、日常壊されたくないもん。

戦争反対!とか大義的じゃない。そうじゃない。単純に、怖いから嫌だ。

 

日常を壊されるのは、たぶん誰だって怖い。その非日常は、戦争でもなくても、自然災害、不景気、もっとミクロだと引越しとか卒業とか、環境の変化だって非日常で怖い時もある。そんな経験はたぶん誰にだってあるし、そういった私たちの日常を脅かす要素のひとつとして、戦争を捉えることできたのです。

 

すずさんたちのおかげで、戦争の時代を生きた人にも、私たちと同じように日常があって、戦争に対して感情が単純化されているわけではなかったんだ。って、戦争の再発見が出来て、それと同時に、自分の経験に落とし込んで、戦争を感じることが出来た初めての体験でした。

 

 

私たちが今平和に生活できているのは、すずさんたちのような戦争時代に日常を生きていた人たちの延長線上に成り立っていて。

そういう人たちが、色々なコトやモノを犠牲にしてまでも、残してくれた現在を、恥じないよう生きて、次に繋げたい、という感情が生まれたことに少しだけびっくりしています。

 

 

この作品を観る度、与えられた情報を咀嚼できないまま、そこにパーソナルな感情が沸いてしまうので、頭の中がこんがらがってしまう。

ドキュメンタリーなのにドキュメンタリーではない作品とどう付き合っていいのか混乱してしまっているのかもしれない。

 

不思議な経験をさせてくれた映画でした。

きっとこれからも何回も観てしまうんだろうと思う。

 

頭の中を正しく言語化してくれる脳みそが自分にあれば、もっと表現したいことがたくさんあるのに。でも、とりあえず無理やり下書き供養ということで、公開します。

 

個人的には、311以降、邦画をまともに観れなくなってしまっていたのですけれど、この作品以降、また観ることが出来るようになったので、感謝しています。

 

 

この世界の片隅に [DVD]
 

 

 

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

 

 

 

ブリューゲル展 東京都美術館

ブリューゲル展 東京都美術館 / ¥1,600 (¥1,400)

 

ブリューゲル展に行きました。ついでにシャンシャンも観たかったのですけれど、整理券は既に配布終了。残念。

 

ブリューゲル一族に焦点を当てた展覧会だったのですけれど、思ったより頭の中こんがらがったので、少し自分の中で整理。ただのメモです。

 

少し前の時代背景

・1517年 ルターの宗教改革(ドイツ)

・15C初めから16C半ば イタリアルネサンス最盛期 

・15C-16C 初期フランドル派・初期ネーデルランド派・北方ルネサンス

(ヤンファンエイク・ヒエロニムスボス等) 

ブリューゲル公国の繁栄/フランドルが欧州経済の中心地。

 

〇 ピーテル・ブリューゲル1世(1525/30-1569)

以前東京都美術館で展示されていたバベルの塔を描いた人。

初期フランドル派の流れを汲み取りつつ、遠近法などの技法も取り入れる。

農民画家。ブリューゲル(父)

 

〇 ピーテル・ブリューゲル2世(1564-1637/38)

父の作品をたくさん模写して生計を経てるも、庶民的なお値段で売り付けていたので

生涯お金には困る。

地獄のブリューゲル

 

〇 ヤン・ブリューゲル1世(1568-1625)

花のブリューゲル

ルーベンスと共作していた。当時は、背景と人物を違う絵師さんが担当することが多かった。

今回の展覧会のメインモチーフとなった花の絵を描いた人。

ヤン・ブリューゲル(父)

 

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出品作品リストに記載されていた系譜とにらめっこしながら鑑賞しました。

 

ブリューゲル(父)の二人の子どもさんは、小さい頃に父を亡くしているので、父の影響で画家になったというより、もともと画家になる環境のお家だったんだろうなあ、と思う。この時代だと、父もギルドみたいな、芸術家というより職人?みたいな感じだったのでは?

 

当時は、背景と人物を異なった画家が描く共同制作の作品が多かった、とあって、現代芸術とは異なり、絵って思想反映の手段というより、家具の一部みたいな感覚だったのかもしれない。商品。

現代の町工場みたいだなって。この部品は、ここで~って、それぞれ得意分野の製品を集めて、組み立ててIphoneにしたり。とか、そういう。

 

花の絵は、色々な種類・大きさの作品が数点ありました。

商業で栄えているフランドル地方の人たちが、友達のお家に遊びに行ったりして、そこでこういう花の絵を観て、自分も家に飾りたい~みたいな感じで、こぞって注文があったんだろうなあ、楽しそう。

 

お花の絵に必ずあったマーブル柄のチューリップは、実は病気のようで。

当時は、病気とは知らず珍しく大変人気があったとあって、面白いなあ、結局は、価値観の問題。

 

今回の出展作品は、個人蔵の作品が大半を占めていて、いいなあ…って思いながら観ていました。

 

大人が観たい美術展2018 (時空旅人別冊)

大人が観たい美術展2018 (時空旅人別冊)

 

 

ルドン -秘密の花園

■ ルドン -秘密の花園 三菱一号館美術館 / ¥1,700 (¥1,500)

   

オディロン・ルドン(1840-1916年)。モネ、ロダン、ゾラと同い年。

1916年没。最期は、WW1の前線に送られた息子さんの無事を祈りながら亡くなった、とあって。

40過ぎて生まれた子どもで、長男は生まれて半年くらいで亡くなって、そのあと生まれた次男坊で、一人息子で、それはもう可愛がっていたに違いないのに。

息子さんは結局どうなったのかは書かれていなくてそっちのほうが気になってしまった。生きて帰れたのだろうか…。 

 

夢想的、幻想的な作品が多く、ぱっと見るとシュルレアリスムをどこか彷彿とさせるような。でも、解説を読むと、自然科学的欲求や神話的・宗教的な要素が含まれていて、実は計算高い絵なのかもしれない。観る人が観たら、わかる!みたいな。

 

色が入ってからの作品は、青がとても印象的でした。印象派のようなタッチなのに、色がビビッド。ずっと観ていたくなる青。中毒性のある色の置き方をしていて、その色の使い方がとても好きでした。

 

ドムシー男爵には、食堂装飾を製作する際、青ではなくてもっと暖色を!みたいな注文を受けたらしいのですが。

 

奥行があったり、モチーフは写実的なのに、背景は印象派のように色がぼやけている作品もあって。そういう組み合わせをする作品をあまり知らなかったので、面白かったです。

36 ドムシー男爵夫人の肖像は、奥さんの描き方は写実的なのに、背景そんな感じでいいんだ!って。

 

いつも企画展に行くときは好きな絵のポストカードを1枚買うようにしているのですが、今回は買えなかったのです。なんだか本物の絵にパワーがありすぎて、プリントされた絵と同じ作品に見えないというなんとも不思議な感覚に苛まれたのでした。

始まったばかりなので、また本物観に行けたらいいな。

 

 webに館長さんと大宮エリーさんの対談があって、印象的だった大宮さんのお言葉。

 たしかに《グラン・ブーケ》って、天国の宮殿の入り口に置いてある花みたいです。今世で一生懸命頑張ってきた人たちを「お帰り~」って迎えてくれるような、そんな花。

 

(memo  35 若き日の仏陀 39 灰色の小さなパネル 87 野の花のいけられた花瓶 

なにかの宗教の女性を描いた作品なのだけど、曖昧なのでタイトルが近年は変わっているっていう解説がされた絵の名前忘れた。なんだっけ。)

 

 

もっと知りたいルドン―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

もっと知りたいルドン―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)