【映画】名探偵コナン 紺青の拳

今年も観てきました。コナンくんの映画。

 

aieou.hatenablog.com

 

■ 名探偵コナン 紺青の拳 (2019)

 

今年は久々キッドさんとはじめての京極さん!

 

キッドの映画と言えば、前作のトラウマ()があってひやひやしながら観たのですけれど、今回のキッドさんはきちんとかっこよかったです!!! というかこれまでの映画の中で、演出も相まって一番かっこよかったかもしれない。

 

キッドって王道コナンの世界だと動かしにくいキャラクターだと思うんです。 というより元々別の漫画のキャラクターですし。 純粋な推理作品で、結果、マジック(しかも現実離れした)でやりました!って、きっとミステリーのご法度では? なので、キッドが出る作品はその加減が難しくて。特に、映画は、純粋な事件が本筋にある脚本が多いので、どのようにキッドを使うか考えるのは大変そうだなあ、と思うこともありました。

 

でも、今回の映画は、実質まじっく快人だったので、とても面白かった!

 

 

今回の脚本は、から紅ぶりの大倉さんと、コナン映画初女性の永岡監督。 女性監督らしいカットや音楽の使い方が今までのコナンと違い新鮮で、面白かったです。ドビュッシー!!!?!って。

 

今回の映画は、恋愛の軸は、園子と京極さん。事件の軸は、キッドとコナンくん。

 

いつもは蘭を励ます(からかう?)園子という立ち位置だけれど、今回は園子がメイン!園子と京極さんの話って、正直あまり想像が出来なかったのだけれど、とても可愛いかったです。確かに蘭ちゃんみたいに強くないし、ちゃっかり超お嬢様だし、前髪降ろすと可愛いくて、実は王道ヒロインタイプなのでは…?

 

そして、事件の軸。これまた、いつもはコナンがメイン、それを助けるキッド、みたいな関係性だけれど、本作は逆。どちらかというと、まじっく快人の世界に、コナンくんがやってきた!みたいなストーリーでした。雰囲気や音楽も、軽い。いい意味でコナン世界のような重さがない。

 

コナンくんが事件を解決する過程やその推理を楽しむ、というより キッドが出し抜くか、出し抜かれるかみたいな頭脳戦と、それに伴う派手な演出を楽しむ作品になっていて。 冒頭のにかって笑うところか、怪我しちゃうところとか、手の内を説明してくれるところとか…快人視点でお話が進むことも多くて、まさにまじっく快人でした…!

 

 

コナンの映画って、単体で楽しめる作品が多いけれど、この映画は、設定を使い過ぎているという意味で、コナン映画だな!って思った作品でした。

 

もちろん、原作やアニメを追っていなくても、楽しめると思うけれど、原作を知っているほど、展開を楽しめる作品だなあって。 そういう人物の関係性や、原作の流れを、台詞や台詞以外のカットでたくさん感じることができて。

 

キッドとコナンが仲が良いというよりは、能力は信頼しているけれど、ライバルだっていう意識があって。

 

蘭と新一の進展だったり。

 

園子お嬢様が、きちんと園子お嬢様だったり。

 

おっちゃんの活躍シーンもきちんとあって。

 

そして、ED後のシーンがなければ、少しもやもやしてしまっていたかもしれない。

 

そういうキャラクターを好きな人にも、優しい映画だったなあ、と思っています。

(ちゃっかり哀ちゃんのストラップも!) 

 

 

シンガポールが舞台なので、英語のシーンが多いのが印象的でした。

 シンガポール観光局?みたいな団体がクレジットされていて、国が全面協力だったのか、観光映画みたいになっていた。あそこのチキンライス美味しいよね。

 

ただびっくりしたのは、日本だと少し濁すと思うんです。事件に巻き込まれるタワーの名前とか。ああ、これはモデルがスカイツリーなんだろうな、みたいな。 でも、マーライオンマーライオンだったし、マリーナベイサンズはマリーナベイサンズだった。あれはシンガポールで上映できるのでしょうか…。

 

キッドが空を飛ぶので、必然的に空からのアングルが多くて、シンガポールの街並みがとても綺麗でした。まあ、さらっと壊しちゃうんですけれど…。

 

 

というわけで今年のコナンくんも面白かったです。 型みたいなものが出来過ぎないといいなあ。とは思います。 来年も楽しみ。

 

■ ■

 

パンフレットを読んで。 EDの実写部分のこと。このところ、後日談というかアニメーションを少し入れることがあるけれど。 あそこのビデオって、ロケハンしてついでに撮ってるんだろうなって思ってたんです。絵書くの大変だから、実写ですましちゃおう!みたいな。 実際は、そんなことなくて。むしろ邦画クオリティでしっかりと作られてたんだなって。知らなかったので、知ることができてよかった。 むしろ1作目は篠田監督が撮っていたとか…!!!あの岩井俊二作品の篠田監督…!

モノづくりってすごいなあ。

 

 

 

【映画】愛がなんだ

■ 愛がなんだ (2018 日本) ヒューマントラストシネマ有楽町

 

令和はじめての映画館!

 

今泉監督の作品は、最低がほんとうに最低で、生々しさが痛くってそれ以降の作品は観ることができていなんですけれど。(最低って、別に作品が最低ってことじゃなくて、こいつらほんとうに最低だな!の最低です。)

 

なんだか鬱々した映画を観たいなあ、という時期があって、よし今泉監督だし!と思って観てきました。

 

結果、ちっとも鬱々しなかったし、なんだハッピーエンドじゃないか!って。

そう思えたのは、たぶんテルちゃんの性格のせいのだけれど。

 

主人公のテルちゃんはほんとうにまっすぐで、ぶれない。

それでいて、前向きに重い。重いんだけれど、とてつもなくポジティブ。

 

なんで自分のこと好きになってくれないの。こんなに尽くしてるのに!!!(醜い顔をさらしながら叫ぶ)みたいな重たい女じゃない。いや、一歩間違えればストーカーで、しっかりと重いんだけれど。

なんで好きになってくれないんだろう~~~~?わたしはこんなに好きなのになあ。みたいに、重いんだけれど、どこかふわっと表面が柔らかいのです。葉子も言っていたけれど、死にたい系女子じゃない。むしろ、幸せそうなの。マモちゃんを好きでいでいることを、すごく楽しんでいる。

 

テルちゃんだけでなく、他の人たちのキャラクターもどこか憎めない。

ステレオタイプを張り付けただけでなくて、とても人間臭いキャラクターになっているのです。だからなのか、まるでほんとうの友達のことのように、嫌悪したり共感したり、はたまた心配したり、してしまう。

 

そして、わたしは、テルちゃんのときもあるし、マモちゃんのときも、ナカハラのときも葉子のときもある。このシーンでは、わたしはこの人だ。みたいな。そういう居た堪れなさと、共感と、そういうものを感じながら、わたしもつい口をはさみたくなってうずうずしながら鑑賞。

そして、映画が終ると、あのシーンのね!!!!と語りたくなってしまう。

 

この映画の不思議なところなのです。

 

テルちゃん役の岸井のりこさんの表情やしぐさが堪らなくて。

特に、表情。美人になったり、ほんとうにブスにみえたり、可愛くなったり。。。

底みえなくて、こわ…って思った女優さんは、安藤サクラ以来だなあ、って思って調べてみたら、事務所がユマニテさんだったので。

ユマニテのスタッフさんと女の子の趣味、一緒なのかもしれない。

 

 

愛がなんだ (角川文庫)

愛がなんだ (角川文庫)

 

 

フィリップス・コレクション展 三菱一号館美術館

■ フィリップス・コレクション展 三菱一号館美術館 / ¥1,700

 

ダンカン・フィリップス(1886-1966)による私立美術館。アメリカ初の近代美術館として知られる。

 

以下気になった作品とメモです。

 

5 ドラクロワ 海からあがる馬

ロッコ視察した際の絵。ドラクロワは生物の描き方がリアルで好きです。

 

6 マネ スペイン舞踊

 

14 ジョン・コンスタブル スタウア河畔にて

今回の展覧会で一番好きだった作品。

 

15 シスレー ルーヴシエンヌの雪

シスレーの雪景色が大好き。ルーズシエンヌというに滞在していたそう。

 

17 モネ ヴァル=サン=ニコラ、ディエップ近傍(朝)

連作でない作品。

 

18 ゴッホ アルル公園の入り口

ゴーギャンを待っていた、とあって、さみしいなあ、って。

ゴッホは、やっぱりどこか難しい人だったんだろうなって。

ゴッホの作品を観ると、圧倒的だなあ、と見入ってしまうのですが

それはゴッホのキャラクターを知っているからそう思うのか、

それともゴッホという一画家のストーリーを知らずとも

純粋に、圧倒的だ、と思えるのかどうか、と彼の作品を観ると、いつも思います。

 

44 ジョルジュ・ブラック レモンとナプキン

構図が好きです!!!!

 

 

ジョルジュブラックの作品をこんなにたくさん観たのは初めて。

キュビズムといえば、どうしてもピカソのイメージあって

ピカソといえば、やはりどうしてもパーソナルなほうを注目してしまう。

キュビズムの作品を、主題ではなく、手法に注目して鑑賞することができて、

楽しい企画展でした。

 

*

 

購入しようかどうか迷っていたカタログがKindleで配信されていました。

図録って重くて持って帰るのが大変で、それで購入を躊躇することが多いので、電子書籍で買うことが出来るのってとても便利!!

さらに、事前に購入することが出来れば、しっかりと図録で予習してから、展覧会でホンモノを鑑賞することに集中できるし…

最近の企画展は、説明をしっかりと読むことを躊躇してしまうほど、混雑していることも多いので、電子版はそういった意味でも、とても魅力的だなあ、と思いました。

他の企画展でも、是非追随していただきたい…!

 

 

 

2018年をふりかえる。

今更だけれども、2018年はたくさん企画展に足を運んだ年でした。

に、加えて、下半期はやっぱりなんだか忙しくなるもので

美術品を観た後に、アウトプットをする余裕もなんだかなくて

観ては、次の企画展へ。というなんとも少し勿体ない鑑賞の仕方だったなあ、と思っています。感想文も書いていなくて、なんだかふわふわしたまま過ぎてしまった。2018年の反省。

 

2019年は、ざっと見た感じ、どうしても行きたい!!!!という企画展は2018年よりは少ないなあ、という印象でしたので、落ち着いて、インプットアウトプットしていきたいなあ、と思います。

 

今年の目標(美術館&アートに関して)は、ふたつ。

去年と引き続き、未開発の美術館・ギャラリーへ足を運ぶこと。

もう一つ、小さなギャラリーに気軽に入れるようにすること。

 

この二つ目の目標は、自分にとってとてもハードルが高いことで。

小さなギャラリーって少し苦手なんです。緊張してしまう。

監視員、ではないけれど、そういう人が当たり前ですが、いるでしょう。

鑑賞したいのに、そういう人たちに監視されなくてはいけないので(自分は、別に悪いことをしているわけでもないし、彼らたちもそれがお仕事だ。)、どうしても、そちらに気が散ってしまい、疲れてしまうのです。

彼らだって、ずっと見ているわけでもないし、そんなこと観ている側は気にしないよ!といったところだろうけれど。

みる側、みられる側がひっくり返ってしまう、その感覚が、とても苦手なのです。

これは自分自身の受け取り方の問題で。

少しここを克服したいなあ、と思っています。出来るかな。

 

ブログに関しては、これからも感想文みたいな、メモのような、

そういう感覚で続けていければ。

 

ーーーーー

2018年の記録

1月

アジェのインスピレーション

オードリーヘプバーン展

フランクホーヴァット写真展

2月

ブリューゲル

ルドン 秘密の花園

楊福東 彩色天空:新女性Ⅱ

レアンドロエルリッヒ展

4月

ビュールレコレクション

5月

フランス絵本の世界

ひびのこづえ展

横山大観展

6月

ミルチャカントル展

nowwhere

プーシキン美術館展

8月

建築の日本展

ルーブル美術館

9月

藤田嗣治

11月

アジアにめざめたら

駒井哲郎展

ムンク

東山魁夷

マルセルデュシャンと日本美術

12月

ピエールボナール展

 

ーーーーーー

没後50年 藤田嗣治展/ 東京都美術館

■ 没後50年 藤田嗣治展 東京都美術館 / ¥1,600 (¥1,400)

 

独特なタッチで裸婦を描く、生粋の日本人なのに、パリの画家。そんなレベルの知識で行ってきました、藤田嗣治展。

 

藤田嗣治(1886-1968)

お父さんはお医者さん(陸軍軍医総監!)。お兄ちゃんがいる。

芸大出身。卒業後、渡仏。モンパルナスに居を構え、ピカソなどと知り合う。

 

日本で結婚1回。渡仏後も、結婚離縁を繰り返していて、もし今の時代に彼が生きていたら、きっとゴシップ誌の常連さんだったに違いない…。

でも、人を惹きつけてしまう作品を作ってしまう人は、やっぱり私生活でも人を惹きつけてしまうところがあるなあ、と思います。

 

肖像のタッチは独特なのだけれど、それ以外の静物や動物などは、とてつもなくリアリズムだったりして、そのギャップがとても面白かった。

特に、テキスタイルの柄の描写がとても細かくて好みだった。歌川国貞が描く着物の柄がとても好きなのですけれど、そういう感覚。

 

今回の展覧会は、彼の作品を純粋に年代順に紹介していくものだったのだけれど、時代に翻弄された芸術家だなあ、という印象です。

戦争って、国ってなんなんだろうなあ、とかもうわけわからないところに思考が飛んでいってしまった。

現代芸術は、やっぱり思想なのかなあ、時に政治に組み込まれてしまうことが意図せずにあるけれど、それは社会主義だけの話ではないのだなあ、とちょっと驚きでした。戦争画ですが、今回の展覧会では、作戦記録画と表現しています。

 

この世代の芸術家は、手法がバラエティに富んでいて、色々な選択が出来て面白いなあと思う。油絵からイラストまで。写真から映像まで。

彼の映像監督作品があったのだけれど、作品名を失念してしまった…。

カット割り?が絵画のように美しくて、一時停止してずっとみていたかった。

 

そして、彼は洗礼を受けて、晩年は、宗教画というところに行きつくわけだけれど。彼はなんで洗礼を受けたのだろう。どういう感情だったのだろう。

 

彼は、日本のことをどう思っていたのだろうか。

彼は、いったいどういう人間だったのだろう。今回の展覧会で、彼のパーソナルなことが気になってしまった。(あの独特な風貌も相まって)少し、調べたり勉強してみようなかあ、と思います。

 

藤田嗣治 エコール・ド・パリの異邦人 (TJMOOK)

藤田嗣治 エコール・ド・パリの異邦人 (TJMOOK)

 

 

プーシキン美術館展  東京都美術館

プーシキン美術館展  東京都美術館 / ¥1,600 (前売り券¥1,400)

 

モスクワにあり、フランスの印象派・ポスト印象派のコレクションで知られる美術館。

 

副題に、旅するフランス風景画とあるように、ヨーロッパ各国や、パリ、そしてフランスの地方を描いた作品が多く、旅しているみたいでとても面白かった。

 

 

第3章 対都市パリの風景画 では、印象派の時代、パリがどのような街だったかが知ることができた。外套が出来て、夜も遊べるようになったり、ショーウィンドウが出来たり、、、 

そうか!それまでは、夜は真っ暗だったから、お家に帰るしかなかったんだなあ、

夜遅くまで街を楽しめるようになって、どれだけ当時の人はワクワクしたんだろうって。

 

第4章 パリ近郊 も印象的。

当時、南に鉄道が通り、気軽に郊外に行けるようになったと。

画家たちは、鉄道で気軽に郊外へ行き、すきな場所を見つけ、絵を描く。

電車でちょっとそこまで、なんて、今では当たり前となっていることが、当時では画期的で新鮮だったんだろうなあ、って。

 

たった100年前のことだけれど、今では当たり前だったことでは、そうではなくて。

そういう当時の状況を知ることができるのも、芸術を好きな理由のひとつかもしれない、と改めて感じたのでした。

 

草上の昼食は、とても迫力があった。陰影が好きです。木漏れ日。

 

 

 

YUNA YAGI NOWHERE / POLA MUSEUM ANNEX

他人の世界をほんの少しだけ覗くことが出来る、写真が、映像が、好きです。

だって、眼ん玉っていう器官で、同じ風景を覗いているはずなのに、こんなにも私とは違った世界に、この風景は見えているんだ、って、ワクワクするから。

 

■ YUNA YAGI NOWHERE (2018.06.15-07.08)  POLA MUSEUM ANNEX / for free.

 

写真の展覧会だったのですが、建築畑のアーティストさんで、面白い展示方法でした。

写真を正面からだけでなく、下に置いて、のぞき込んだり。写真の上にアクリルブロックが置いてあり、そこから覗く写真は、屈折したり反射したり。

写真を視覚的に違った方法で観る。なかなかありそうでなかったのでは。

情景を通常とは異なった"みせ方"をする為、被写体として切り取りアートにするため、写真という媒体を用いることはあるけれど、撮った写真を、文字通り、"みせ方"によってアートに昇華する手法は、なるほど、と。

 

こういう展覧会に行くと、アートとはなにか、とかまた答えのない問いが頭の中をぐるぐるするのですが。

 

これはアートなのか、それとも"構築"なのか。

アートというよりデザインなのではないか。

でも、問題提起があるならばアートなのか。

 

こういうことを考えさせてしまうということは、結局はコンセプチュアルアートとして成立しているのだと思うけれど。

アートにするか、アートになるか。そういうことをぐるぐる考えさせてくれた展覧会でした。

そして、私はそういう面倒臭いことをぐるぐる考えることが大好きなので、とても楽しい展覧会でした!

 

もっと広い会場で観てみたいなあ。計算されたとても綺麗な空間でした。

長方形っていいよね。

 

www.po-holdings.co.jp

見る、視る、観る。

 日本語って大好き。たまらない。